
株式会社G-pitがLGBTフレンドリー企業の求人情報をご紹介する「LGBTフレンドリー企業訪問記!」
第3回となる今回は、デイサービスを店舗展開する『レコードブック』さんです。
所長 箕輪さんと指導員 島田さん(トランスジェンダー)とのカミングアウト時の会話や、長期休暇についてなど多岐に渡るお話を伺ってきました。
Record book 求人情報
現在「生田店」で働くスタッフを募集中です!
募集職種:運動トレーナー、生活相談員
雇用形態:正社員
対象となる方:35歳までの方(長期キャリア形成のため)
給与:月給 ¥230,000~
勤務時間:8:00~17:30
休日、休暇:土日・年末年始(12/30~1/3)
勤務地:レコードブック読売ランド前、レコードブック生田のいずれか
求人詳細はこちら
仕事にLGBT、セクシュアリティは関係ない

箕輪さん、入社時に島田さん(F T M)からカミングアウトをされた際のお話をお聞かせください。

実は、面接の時は知らなかったんです。男性として応募があり、採用しました。その後、契約のタイミングでカミングアウトされました。

後出しジャンケンでしたね(笑)。

後出しだったね(笑)。

島田さんからカミングアウトを受けた時、箕輪さんはどういった心境になりましたか?

正直、今まで知らなかったことなので最初はビックリしましたね。でも、それは嫌なビックリではなくて、どう言うことだろう?って言うハテナのビックリでした。

その時、実際にどういった会話があったんですか?

初めての経験で、わからない事だったので、直接本人に聞きました。
「それによって仕事に何か問題があるの?」と。

「それは、言う必要があることなの?」とも聞かれましたね(笑)。

なるほど〜。島田さんはどう返答しましたか?

「戸籍上の性別が女性なので、保険証などの性別欄は女性です。」と、伝えました。
それと、お金を貯めてタイで手術を受け、性別変更を希望していること、その手術のために長期休暇が必要なことも伝えました。

それに対する箕輪さんのお答えは?

応援する気持ちで許可しました。
私の感覚としては、トランスジェンダーの手術のための長期休暇を許可したと言うよりも、大切なスタッフに大切な諸事情があり、長期休暇を必要としている。それに応えてあげようという思いから、長期休暇の調整をしました。
そもそも、うちの会社は土日が完全定休で、働いてくれるスタッフにしっかり休みを取って欲しい。というスタンスで運営をしているので、迷いとかは全くありませんでしたね。
当たり前にいる存在として

実際に島田さんの入社後はどう感じましたか?

うーん…どう感じました…..。実は、特別に何かを感じたことはないんですよ。
もちろん、いちスタッフとして、仕事に関しては感じたり思うことはありますが、トランスジェンダーだからという部分では普段あまり考えないですね。

そうなんですね。 今お話ししていても、とてもフラットに特別扱いせず接している感じが伝わってきます。

入社当時からずっと変わらないことなんですけど。 特にトランスジェンダーを意識したことがなくて…特別扱いしたことがないんです。

もちろん、個人差があるので全員が当てはまるわけではないですが、LGBTだからって、特別扱いして欲しいわけではないんですよね。
ごく当たり前に、LGBTも、そうじゃない人も、仕事をしたり、恋愛をしたり、生活をしていて、決して特別な存在ではないですよね。
性別適合手術のための長期休暇

話は変わりますが、会社としてダイバーシティーの取り組み、LGBTに対する取り組みはされていますか?

特にこれといった取り組みはしていないのですが、手術の長期休暇などについては、仕事を頑張ってくれればウェルカムですね!
あとは、改名の際に名前を変えること、名札や名刺の変更などはすぐに対応可能です。

素晴らしいですね!取り組まれていると言って良い気がしいますが(笑)。

特別な取り組みはしていない。というのも、私の感覚の問題だと思います。
トランスジェンダーだからこうしてあげようと言う感じではなく、いちスタッフとして、それが必要であればできるだけ要望に応えてあげたいと思っているだけなんですよね。

長期休暇を申請した時も、事前に話していたのでとてもスムーズでした。
あと所長が個人的にすごく応援してくれていると感じていたので、嬉しかったです。

実際に島田さんが手術に行く際はどう思いましたか?

私はトランスジェンダーではないので、一生理解はしてあげられない。
それは、トランスジェンダーに限らず、人はそれぞれ理解することは不可能だって思っていて。だけど、受け入れることはできる。
その上で、応援しようという気持ちでしたね。シンプルに無事に帰ってこい!と。

島田さんはどう思いましたか?

正直、仕事での長期休暇は申し訳ないと言う気持ちもありました。
ですが、快く背中を押してくれて安心できました。
余裕を持って休みをもらっていたのですが、術後元気だったので、予定より早く職場復帰しました。
「あれ?もう帰ってきたの?」って言われましたね(笑)。

手術をして性別変更した後、現在は何か変化がありましたか?

戸籍上の性別が変わったのですが、仕事面では特に変化はありません。 名刺を変えたくらいですね。

最初から変えれば?って言ってたんですよ。

箕輪さんから名刺の名前変更の提案をしたんですか?

そうです。でも変えなくていいって言うので。そうか。と。

もう配っちゃっていたし、性別変更のタイミングでまとめて変えればいいかな?って思って(笑)。
仕事で大切にしていること

仕事で大切にしていることはありますか?

仕事において一番大切なことって、仕事に対する姿勢とか、誠実さだと思っているんです。あとはチャレンジ精神があること。要は人柄とか内面の部分ですね。

島田さんは何かありますか?

やりがいを大切にしていて、それは自分で作るものだと思っています。
「レコードブックに来て良かった」そう言ってくださる利用者さんがいると本当にやりがいを感じますし、今後もそう言ってもらえるようにしてきたいと思っています。

素敵なお話をありがとうございます!
一緒に働く視点で、どんな方に応募してもらいたいと思いますか?またこれからの展望があれば教えてください。

私たちの仕事は「ヒューマンスキル」によって作られます。一番大切なのは、人柄です。そこに性別は関係ないと思っています。
今後の展望は、仕事にやりがいを感じてもらいながら、自分でチャレンジできる環境作りをしていきたいです。この度、生田店が新規オープンしました。
これからも、地域密着型の店舗展開は考えています。

今後、店舗展開していく中で、同じ志を持つ仲間が増えていくといいですね!
ちなみに、今の社内はどんな雰囲気ですか?

気軽に飲みに行ったりもしますね。あまり堅苦しい感じではないかなと思います。
相談をしてもらいやすい雰囲気なんで、色々相談してきてくれたら嬉しいですね。

連携が取れないと仕事ができないので、コミュニケーションを大切にしています。
それもあって、仲良しです(笑)!!

仲良しいただきました(笑)!素敵なお話をありがとうございました。
「一緒に働いている仲間が困っている。それなら出来る限りどうにかしてあげたい。ただそれだけのことなんです。」
そう笑って話してくださった箕輪さん。島田さんも、カミングアウトの際、不思議と緊張はしなかったそうです。
性別ではなく、人としてコミュニケーションを取ることを大切にされている箕輪さんの人柄が、働きやすさを生み出しているんだと感じました。
レコードブックに興味をもった方は、ぜひ求人情報をご確認の上、お問い合わせください。たくさんの方からのご応募を、お待ちしております。

株式会社G-pitがLGBTフレンドリー企業の求人情報をご紹介する「LGBTフレンドリー企業訪問記!」
第2回となる今回は、物流サービス会社の『シグマロジスティクス株式会社』さんです。
記事の後半では、シグマさんにてダイバーシティー推進を担当されている、須田さん・平山さんのお話を伺います。
お二人が認識されているだけでも、シグマさんでは、既に15名ものLGBT当事者の方がセクシュアリティをオープンにして働かれています。
そんなLGBTフレンドリーな職場環境は、これまでどうやって育んできたのか、そしてお二人がLGBT当事者の社員をサポートする上でどんなことを意識されているのか、伺ってきました。
シグマロジスティクス株式会社 求人情報
募集職種:オペレーションスタッフ/倉庫管理スタッフ
雇用形態:正社員/契約社員
給与:月給¥230,000〜(エリアにより変動あり)
待遇および福利厚生:雇用保険/労働保険/社会保険、慶弔休暇、通勤手当
休日:1.年次有給休暇(入社日から起算して6ヶ月継続勤務で10日間付与) 2.慶弔休暇(正社員のみ)
トランスジェンダー社員、口コミで15人に

先ほど、15名もLGBT当事者であることを公表している社員の方がいると伺いました。皆さん、セクシュアリティはバラバラなんですか?

いえ。これまで入社したLGBT当事者社員の多くが、G-pitさんの口コミで入ってきてくれているのもあり、みんなトランスジェンダーの社員です。
中でも、長らくFtM(Female to Male)の社員だけだったのですが、最近はMtF(Male to Female)の社員も入社してくれました。

そうでしたか!弊社が勝手に宣伝してすみません(笑)。

いえいえ、むしろありがたいです。

ちなみに、FtMが多かったのは理由があるんですか?

もちろん弊社としては男性でも女性でも、どんなセクシュアリティの方でも受け入れていきたいのですが、やはり体を動かして重い飲料を運ぶ「力仕事」ですので、男性の方に興味を持っていただくことが多いのだと思いますね。
仕事を通じて「人として」認め合う。セクシュアリティは関係ない。

なるほど。そういった「男社会」となると、入って行きづらいと感じるLGBT当事者は多いように思うのですが、御社が「働きやすい」と当事者から言われるようになった要因はどこにあるのでしょうか。

そうですね。私たちの仕事は体を動かしますし、残業もあるので、楽とは言えない仕事なんです。だからまず「この仕事を一生懸命やる人」を皆リスペクトしますし、そういう人のことを仲間として認めていますね。そこに「セクシュアリティが何か」は関係ない。
なので「LGBT」というラベルで同僚のことを評価しない雰囲気が、トランスジェンダーの社員たちの働きやすさにつながっているのではないかと思っています。現場の人間は、「この仕事を頑張りたい」という気持ちがある同僚、そして真面目にルート営業に取り組む同僚のことを「一緒に働きたい同僚」と感じますから。

仕事を通じての絆を一番大事にされている、と。素敵です!

そう思います。たとえば、私が初めて採用した当事者の子は、当時まだホルモン治療も始めていなくて、どちらかと言うと「ボーイッシュな女の子」という感じでしたが、内定後に本人から「これから男性に性別を移行していきたいと考えている」と伝えられました。本人はすごくドキドキしている感じでしたが、私は「そこは関係ないよ!」と。
現場からも、面接後の現場体験で「あの子いいと思います!」という声がありましたし、私としてはむしろ、こんな素敵な子が入社してくれることがただ嬉しかった。だからその後は「内定者」として新卒向けの会社説明会にも帯同してもらって、「一緒に働きたいって思う子を、私と一緒に探して!」とお願いしていたほどです。

へー!「内定者代表」ということですよね。それだけ「一人の人間として評価してもらえる」というのは、当事者としてとても嬉しいと思います。

ありがとうございます。でも、おっしゃる通り、「一人の人間として」という意識は、強くあると思いますね。

最近もこの記事のために現場に写真を撮りに行ったのですが、そこにいた社員たちが「なんの写真?」って盛り上がっていて。そしたらそこにいたFtMの社員が「俺らみたいな人向けの求人を載せることになって」と説明してくれて。そうしたら周りも「へ〜!そうなんだ、撮ろ〜!」という感じで(笑)。LGBT当事者がいることを「当たり前にそこに存在する」それが普通であると捉えているように思います。
性別移行の計画を、みんなで支える

そんなに自然なんですね(笑)。当事者にとってこれほど嬉しい環境って、なかなかないと思います。ちなみに、そういった社内の雰囲気だけではなく、LGBT当事者社員向けの制度的サポートなどはあるのでしょうか?

制度として「これ」というのは用意していないのですが、基本的に当事者であることを開示してくれた社員とは面談を実施したり、配属されるエリアのマネージャーと直接話し合いを持つようにしています。入社時の状況は様々。戸籍(性別)を変更した状態で入社する人やこれから改名手続きをする人。また、ホルモン治療中で将来的に手術を希望している人やこれからホルモン治療を始めようとしている人など。千差万別です。
去年も新卒でFtMの社員が二名入社してくれたんですが、その内の一人が「これからホルモン治療を始めるか始めないか検討している」という状況だったんですね。
そこでホルモン治療の進行についても共有したので、本人がその後ホルモン治療を始めた後の体の変化も現場はすんなり受け入れられたみたいです。他にもFtM社員の受け入れが複数になってきたエリアではもう「大丈夫!大丈夫!」みたいな感じですし、 心強いです。

ダイバーシティーって「慣れ」が大切だったりもしますよね。

それにしても、LGBTに関する制度を整え始めている企業は出てきていますけど、こうして一対一対応で当事者一人一人と向き合っている企業はなかなかないと思います。

本来、私の理想としては、LGBT とか男とか女とか関係なくて、マネジメントスタイルは基本1on1であるべきだと思っているんですね。それぞれに不安や不満がありますから。
初めてMtFの社員が入社してくれた時は、「勉強したいから、ぜひ小さなことでも声を聞かせてほしい」と伝えて、面談させてもらいました。本人からは、シグマではじめて女性として働くことや、前職では自分のセクシュアリティを言えなかったこと、そのことに窮屈さを感じていたことを教えてくれました。とても嬉しかったですし、気づきを得ましたね。今も「困ったり悩んだりしたら、私たちに何でも言って」と伝えています。

そう言ってもらえると安心しますよね。その方は、その後順調に働いていらっしゃるんですか?

その子は大きな商業施設の飲料補充を担当することになったのですが、私たちが彼女のことを理解していても、施設を訪れる人によっては彼女を「男性」と見る人もいるだろうと、まず配取引先に問題がないかを確認しました。「コカ・コーラ」と書いたユニフォームを着ると「コカ・コーラの人」と周囲からは認識されますから。
結果としては、先方の支店長さんが、「大丈夫。そうなった時に考えましょう」とご快諾くださって、晴れて配属が決まりました。つい先日、彼女が所属する拠点の所長に「あの子元気にやっていますか?」と聞いたのですが、「年末の忘年会も来て楽しそうにしていました。とけ込んでくれていますから大丈夫ですよ!」と教えてくれて、ホッとしましたね。
コミュニケーション力は「これから磨きたい」で十分

本当に温かい社員の方が多いですね。最後に、どういったLGBTの方に御社をオススメしたいですか?

うちはユニフォームを着る仕事ですから、服装の部分での悩みは少ないと思っています。男女で少しだけ合わせが違う、などはありますが、オフィスワークのように服装で「男女」を意識することがありません。なので、そういう安心感は持っていただけるのではないかと思います。

あとは、自分のコミュニケーション能力に苦手意識を感じている方でも、これから上手になりたい、という気持ちを持ってくれてさえいれば、うちは十分です。
基本的には自販機と対峙する仕事なので、他業界の営業職より人と面することは少ないのですが、それでもコカ・コーラのユニフォーム着ていると「コーラさん!」と声かけられることがありますし、自販機を置いてくださるオーナーや企業の総務の方とのやり取りは仕事に組み込まれています。なので、勝手にコミュニケーション力は身に付いちゃうんですよね。だから「できるようになりたい」と思っているだけで十分です。

コミュニケーションに不安を抱えている当事者は少なくないので、心強いです!
たくさんの社員の方の名前を出しながら、入社のきっかけやそれぞれのエピソードを、家族について語るように話してくださったお二人。話を聞いていると、こちらまで温かい気持ちになりました。シグマロジスティクス株式会社に興味をもった方は、是非求人情報をご確認の上、お問い合わせください!たくさんの方からのご応募、お待ちしております。

株式会社G-pitがLGBTフレンドリー企業の求人情報をご紹介する「LGBTフレンドリー企業訪問記!」
第1回は、新宿二丁目でクラブやカフェなど4店舗を経営する株式会社カペラシスティーナさんです。
プロデューサー小原さんの仕事観に迫るインタビューを掲載!長年クラブ「AiSOTOPE LOUNGE」を盛り上げてきた小原さんの話からは、カペラシスティーナにジョインする魅力をしっかりと感じとっていただけるはず!ぜひご一読ください。
株式会社カペラシスティーナ 求人情報
現在「AiiROCAFE 店舗スタッフ」を募集中です!
接客が好き、人が好きな方、歓迎。
小さなバーなので、お客様と密に話せるお店です。
また、お客様の80%が外国の方なので英語を話せる方も大歓迎です!


株式会社カペラシスティーナ 求人情報
募集職種:⑴店舗スタッフ(AISOTOPE LOUNGEホールスタッフ、ALAMAS CAFEキッチンホールスタッフ) ⑵PRESS(広報)業務全般
雇用形態:⑴アルバイト ⑵正社員
給与:⑴1000円〜 ⑵基本給24万円〜(能力と経験により応相談)
休日:⑴シフト制 ⑵夏休みと冬休みそれぞれ半年毎に7日間。
「効率よく稼ぎたい人」より「ご縁を大切にしたい人」に来てもらいたい


そうですね。うちは給料も高いわけではないですから(笑)。体力を使う仕事でもあるので、「効率よく稼ぎたい」と思ってる方には合わないと思います。だけど、普通の会社で働くより、幅広い人との出会いがある。いろんなご縁をつないであげられますし、それがうちの魅力だと思います。だから「人が好き」という方だったら楽しいんじゃないかな。人とのご縁は、お金で買えない宝だと、僕は思います。

ご縁が大切。

そうですね。それは一番大事にしています。新宿ニ丁目(以下、二丁目)の魅力自体が、いろんな人と出会えることだと思っていますから。あんな人もこんな人もいるのがこの街だし、「いろんな人がいていいんだ」と思わせてくれるのがこの街の魅力だと思ってます。

小原さんはクラブ「AiSOTOPE LOUNGE」にスタッフで入られることが多いですよね?クラブもたくさんの人と出会える場所ですね。

そうですね。クラブは特に、年とかセクシュアリティは関係なく、例えば宇多田ヒカルが好きなだけで集まってきてくれて、それだけで知らない人とも乾杯できる。「この曲いいよね〜!」って話ができる場を作れるのは、クラブの一つの特権だと思います。僕はそんなクラブが素敵だと思うし、これからもいろんな人が来れて、仲良くなれる場所として、守っていきたいですね。
「いろんな人がいる街」の魅力を知った、ココロカフェ

話は変わりますが、小原さんが二丁目で働き始めた頃の話を聞いてもいいですか?

うん、オッケー! でも待って、もう何年前になるんだろう……。

19年前……?(笑) 二丁目に今もある「ココロカフェ」で働き始めたのが、最初なんですよ。

そうだったんですか!カフェ店員だったんだ。

そうそう。まだココロカフェがオープンして2、3カ月たった頃で、ほぼオープニングスタッフだったんですよ。
その年のレインボーパレードですごく仲良くなったレズビアンの女がいてね。その子が「ココロカフェ」でオープニングスタッフを始めたけど、人手が足りないから入らない?って誘ってくれて。僕、当時親が病気して実家に帰っていたんですけど、丁度東京に戻ってきたところで、仕事も決まっていなかったし「ちょっとだけならいいよ」と働き始めたんです。

それが、はや20年。

そうだね〜(笑)。「ココロカフェ」でまた別のレズビアンの親友ができて、楽しくなっちゃってね。他にもいろんな人と出会って、そうしている内にお店に愛着が湧くじゃないですか。ココロカフェは当時からいろんな人が集まる場所で、楽しかったんです。
ゲイの人も来れば、レズビアンのカップルも来て、ニューハーフのお仕事をされている方も仕事明けにいらっしゃる。あとノンケの人もね。僕はゲイだから、やっぱりゲイの世界しか知らなかったので、レズビアンの子に「最近なにが流行ってんの〜?」って聞いたり、ニューハーフのお姉さんに「ニューハーフのお姉さんってどこでショーの練習しているんですか?」って聞いたり。楽しかったですね。

そこからどういう経緯で、クラブで働くことに?

当時からドラァグクイーンさんのショーを観るのが好きだったんですよ。それで「advocates tokyo」っていう昔二丁目にあったクラブの店長に手伝わないかって声をかけられて、「タダでショー観られるならいいかな〜」って。
だから、当時はクラブ自体には興味がなかったんです。どうやって踊っていいかも分かんなかったし。行くとすれば、友達とネルトンのために行くだけで、「私何位だったわ?」ってマウンティングして遊ぶ程度(笑)。元々お酒が苦手な人間でしたし、二丁目にもほとんど遊びに来たことがなかったんです。

今の姿からじゃ、ちょっと想像がつかないですね(笑)

そうですよね。今ではこの街で酒を飲むのが仕事の一つですけど、昔は「新宿伊勢丹の前を歩いているだけで、ゲイってバレるんじゃないか」とか考えてた時期もあったんですよ!(笑)今じゃ隠すどころかダダ漏れだけどね。やばみ。
当時のBOSS「若い子とデートすることになったから、あとよろしく!」、小原さん「パーティ中ですけど???」

クラブには、その後ハマっていったんですか?

面白いって思うようになりましたね。スタッフになると、DJさんとかゴーゴーボーイさんと仲良くなるじゃないですか。そうなってくると、このDJさんはどういう方なんだろう?とか気になって、「どういう気持ちで選曲するんですか?」って聞いたり。どんどん興味を持つようになりました。

そこから店長になるまでに。

そうですね。当時ヨシユキさんっていうボスがいたんですけど、そのヨシユキさんが良くも悪くもだらしない方でね(笑)。例えば……、イベント中にですよ?携帯をいじり始めて「おばら!」って呼び出されたと思ったら、「今掲示板で若い子とデートすることになったから、行ってくるね」みたいな。「え?」みたいな。「パーティー中ですけど?」みたいな。「おばらいるから大丈夫!」なんて言って出て行くんですよ。

つらくなかったんですか?

うーん、それが「つらい」とは感じなかったんです。キリスト教徒の家で育ったからですかね。ずっと「人を大事にしなさい、ご縁を大事にしなさい」って言われてきたから、「このご縁を無下にしちゃだめだ、やらなきゃ」としか思ってなかったです。もちろん僕はヨシユキさんみたいなこと、スタッフにしませんけどね!(笑)

責任として、というのが強かったと。

そうですね。だけど、こんなこと言うのは恥ずかしいですけど、この街の人が好きだからですよ。ドラァグさんとかDJさんとか、せっかくいろんな友達ができたのに、この街の仕事を辞めてしまったら会えなくなっちゃうなぁって、それは嫌だなあって。その一心で今まで続けてきた気がします。こう見えて寂しがり屋なんですよ〜、僕(笑)。
二丁目で大切なのは「挨拶」

小原さんが、二丁目で働く上で大事にしていることはありますか?

それはもう、挨拶ですね。「よろしくお願いします」とか「お疲れさまです」とか、挨拶って感謝と敬意を相手に示すってことじゃないですか。それができないのに、出会いとご縁でまわっている二丁目にはいられないですよね。
だから、僕は現場の先輩たちには自分から挨拶をするよう心がけていますし、下の世代につないでいく身として、若いドラァグクイーンの子たちがあいさつに来た時は、必ず「おはようございます」って言うようにしているし、言わせるようにしています。電話とかで「おつかれさまでーす」って名乗らず電話してくる子とかいるじゃないですか。そういう時は「誰ですか?」って言いますね(笑)。
二丁目は良くも悪くも“村”ですし、村を守るのは、お金の力ではなくて人のつながりですから。

ここは支え合いの街ですよね。僕もそう思います。では最後に、これから二丁目という村に、そしてカペラに、どんな仲間が加わってほしいか、改めて教えていただけますか?

もちろんお客さんも働きたい方も、どんな方でもウェルカムですけど、うちで働いてみたいと思う方には、一回お店に遊びに来てほしいです。よく「遊びに行ったことはないけど、自分はゲイだから応募したい」という連絡を頂くんですね。自分のセクシュアリティがきっかけになることはいいと思うんですけど、でも、それがここで働く上での理由にはなってほしくない。だから、まず遊びに来てみてほしいです。この街の魅力を自分で感じてみてほしいです。

あ!もちろんどんなセクシュアリティでもウェルカムですよ。最近やっとMtFの子が入ってくれたんですけど、嬉しくって「よくきた!ありがとう!」って言っちゃいましたもん(笑)。僕はさっきも言ったように、いろんな人がいることが二丁目の魅力だと思っているし、少なくともうちはそういう会社でありたいですから。
取材中もG-pitスタッフを何度も笑わせようとしてくださった、やさしい小原さん。今回はそのお人柄の背景に、たくさんの「人」への想いがあることを知れました。小原さんの話から、株式会社カペラシスティーナに興味のわいた方も多いのではないでしょうか。是非求人情報をご確認の上、お問い合わせください!たくさんの方からのご応募、お待ちしております。